木の家Blog

キッチンを設計して作るという選択

2025-11-13 17:07:40
2025-11-13 17:17:57
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弊社では1990年末頃から2010年頃までアメリカとカナダから建材を輸入してました。毎月のようにドアや窓、仕上げ材などを満載したコンテナを受け入れてました。過去形なのは、円が安い今では北米の建材を輸入するメリットは無いからです。北米の建材を輸入するということは設計も北米建材のソツが無いようにしなければなりません。具体的に言えば、インチフィートで北米ルールに従った設計です。ルールと言ってもそれほど厳しいものではありません。日本のように3尺または1メートルのモジュールを作ってそこに柱を配置しなければならない、と言ったことはありません。廊下幅や部屋の大きさは設計者が必要と思う寸法で自由に作って良いのです。この点は日本の家は浴室やキッチン、洗面など基本サイズが決まっていて自由度が少なく感じます。

ところで日本と北米の家を設計するにあたって一番の違いは水まわりでした。例えば浴室です。日本の決まったサイズのユニットバスを据えるのに対して、北米はバスタブと洗面とトイレを一室にまとめたバスルームを作ります。そのため個性豊かなバスルームが出来上がることになります。私は北米の主寝室の中にバスルームが組み込まれる設計は大好きです。ベッドルームとクローゼットとバスルームがひとまとまりで主寝室というわけです。仕事を終えて家に帰り、シャワーを浴びて着替えて・・・という一連の作業を主寝室の内で完結できるのです。

そしてキッチンも日本とは大きく異なります。キッチンメーカーの規格キッチンを据える日本に対して北米のそれは、家の設計段階でキッチンも一緒に設計し、現場でキッチンを作るのです。つまり、キッチンは買うのではなく作るのです。ですので1棟ごとにその家に似合うキッチンレイアウトとし、家の雰囲気に似合うスタイルで設計します。

北米でキッチンメーカーと言えばキッチンキャビネットを作る会社です。キャビネットとは扉が付いた箱です。施工者はキッチンキャビネットをキッチンメーカーから購入し、キャビネットに合わせてカウンターを作り、最後にシンクやフード、オーブン、食洗機などのビルトイン機器を据え付けます。

弊社では、北米から建材を輸入していた時代は北米のキャビネットを輸入し日本のステンレス屋さんのカウンターを製作したもらい、国産のビルトイン機器を組み込んでキッチンを作ってました。北米からの輸入を終了させた後は大工でキャビネットと扉を作ってキッチンを作ります、これは今でも続いてます。上のひのき材を使ったキッチンはとても良い雰囲気です。ところが大工でキャビネットや扉を作らせると高くつくのです。これは大工の手間賃が高いからしょうがないのです。何か良い方法はないかと思ってたところにIKEAからキャビネットだけ購入できることに気がつきました。

IKEAのキャビネットを使うことで家に合わせて自由に設計できるキッチンがそこそこの金額で作れることになりました。今では弊社はIKEA正規取扱店です。IKEA商品が安くなるわけではありませんが、家に合わせて寸法も雰囲気もぴったりなキッチンや造り付け収納家具を設計し提供することができます。どうぞ試してみてください。
※掲載されている写真はすべて弊社で設計、施工した造作キッチンです

この記事を書いた人

tsuzuki

https://www.kinoie.jp